車を飾る

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 日本でも新車納入の時は儀式というほどのものではないでしょうが、リボンのついた鍵なんかを渡してもらったりして、ちょっと晴れがましい感じになります。

 インドでは花飾り(バラやオレンジ・黄色のマリーゴールドが中心です)を車に飾ります。以前、インドで結婚式のお祝いの車に花が飾られているのをみて、「お祝いの花飾りだな」と思っていました。今回チャナカ大学でも大学に新車が納入されたというので、花を飾った車に出会いました。

ところが近くに寄ってみると、花だけでなくお線香があったり、車に何やら丸い印がついていたりします。印の中には文字のように見えるものもあります。これは一体なんだろう?と思って聞いてみました。すると納車のお祝いというだけではないことがわかりました。

こうした印や花飾りは車を神様に見立てるためのものだそうです。神様の首に花飾り、車のヘッドライトが目に見たて、額に印を、そして頭の部分にマントラを書いてあるとのこと。でもなぜ車を神様に見立てるのでしょう??

「車は人を乗せるでしょう。だから神様になるのです」拙い英語で知ることができたのはこんな内容なのです。神様になるという部分は日本的にいうと「お祓いをする」ということらしいです。日本風にいうと交通安全のお祓いなのでしょうか。後で調べると「プージャ」という儀式をして、車にお供物を捧げたり、神職の人がマントラを描いたり等々と色々なことをするようです。

神様扱いといえば確かにそうだなぁと感じました。

日本人は何かと「もの」を擬人化するといわれたりしますが、インドのこうした風習はまた別の次元なのだろうなと思います。どちらが車を大切にしているのかについては、何とも言えません。交通事情についていえば、バンガロールの渋滞は有名で30分のところが2時間かかることもあるほど。そして2車線道路にいつの間にかバイクを合わせて4台以上が信号待ちしているし、歩行者は車を避けて渡るし…。大型バスやトラックの側をスレスレに通るバイクやAuto(バイクに荷台をつけたタクシー)はごく普通の風景です。でもそれぞれお祓いを受け、魔除けをつけているわけです。嗚呼インドって奥が深いなぁとつくづく思います。