南インドで訪れたサリーの展示会。
テーマは「光と風」。
窓から吹き込む風、自然光、そして照明の光に踊る金糸銀糸の模様に感嘆の声をあげながら、私たち三人が一様に足を停めたのが、ある一枚の布の前。
「似てますよね」
「雰囲気は違うけど…」
「確かにインド的だけど、どう見ても…」
そこへガイド役の女性。
「こちらの布は、中国から絹やお茶を輸入し、インド側からはアヘンを輸出していた頃のものです。もちろん良いものはイギリスへと送られるわけですが、インドの絹織物も中国の模様から刺激を受けました。この模様も中国の絹織物をもとにしてグジャラートで作られました」。
やはり…花丸紋。
日本の花丸紋は色々な花を正円の形に配置しますが、こちらはやや楕円に見えます。
でも織物でこれだけ精緻に花を描き出しているなんてすごい技術です。
日本はどちらかというと織だけでなく、刺繍や染めも駆使して一枚の着物に多様な模様を一枚の絵画のように描き出す方かな?と思います。
インドはサリーとして着ることを想定しているので、縁飾りや体の前にドレープとして飾る部分を除くと、繰り返しの模様を織りで表現することが多いようです。
ところでこの布を実際に来ている写真があるというのです。
白黒の写真を見ると確かに女性がこの布と同じ柄の布を纏っています。
年代は第1次大戦と第2次大戦の間の「戦間期」。場所はスリランカ。
中国から西にグジャラートを通り、南に下ってスリランカへ。そして東は日本へ。
花はとても遠い旅を辿り、それぞれの地の色を纏って変化(へんげ)したのです。
なつ

インドの花丸紋